第33回日本歯科技工学術大会発表
 2011年10月1日(土),2日(日)


*発表日程:2011年10月2日(日) 11:00〜
       タワーホール船堀(江戸川区総合区民ホール) : E会場
*分類:テーブルクリニック
*演題名:
『臨床データを活用した歯科補綴物への加齢要素の反映』
Reflection of aged-related elements for prosthesis with making the most of clinical data.<X-Ray,model,photography>
*演者:尾崎邦夫*1,村山千代子*2,関根顕*3,村山知子*2,大友良一*1
*1東京都歯科技工士会, *2東京都, *3神奈川県

When we (dental technician)receive several model from dentist,we should be consider prosthesis about a form and occlusal function for individual case.
We think about tooth that has two points of view as dental technician.First one are aesthetic form,and second one are functional form.So then both of them are important for human oral health.This is the problem which now confronts us(D.D.S and dental technician).Usually we make up prosthesis using many clinical data (X-Ray film.photography.dental model).About all clinical data,it is aged-related changing form of prosthesis in the oral and maxilla facial.

[目的]
局所補綴が大部分である一般臨床では、技工士が補綴物を製作する時に常に直面することの一つが前歯のガイド面と形態,及び臼歯部咬合面のコンタクト,ガイドの形成である。局所補綴する場合は、隣在歯,対向歯に咬合バランスを図ることが前提になる。
前歯で歯冠形態を追求(審美的に)すると前歯ガイドが過度となり、臼歯では咬頭嵌合位で歯冠形成すると側方運動での咬合干渉を生じることが多い。
臨床ケースでは老若男女様々なケースがあり、審美と機能の二つの要素を考慮するが、その中でも機能要素については個体年齢を考慮しなければならない。補綴物というのは、人工の天然歯であり、顎口腔内では上,下歯列を構成し、咀嚼,嚥下,発音という三大口腔機能を直接支える臓器の一つである。口腔環境を考えると生体は加齢に従い、顎骨,顎関節,筋靱帯なども当然加齢する。加齢変化を十分に考慮して補綴物を製作する。

[方法]
(1)補綴治療に対する患者希望(なるべく具体的に) 
(2)模型の観察
(3)患者の顔面要素
(4)X線(パノラマ,セファロ,T.M.J)の観察
(5)問診データ
加齢による変化要素と状況について以上の臨床データを元に担当医との十分なコミュニケーションとディスカッションを行う。つまり、interactiveなコミュニケーションを図ることにより、生体情報を整理統合し、具体的な補綴物のイメージを構築する。このことにより、歯冠補綴物と生体情報が深くHarmonizeすることが可能となる。特に模型の観察とX線の観察は重要であり、X線像には加齢による骨形状,顆路傾斜,筋肉,骨損傷など補綴物の形態に直接関係する多くの情報が含まれており、犬歯ガイド,臼歯部高径(L.F.H,データ参考)の決定などの参考データが含まれている。

[結果]
若年のケース,高齢者のケースと多数の症例で加齢要素を追求した結果、顎口腔系の中で最も顕著な加齢による変化は顎関節機構であることが判明した。他の顎骨,筋靱帯などにも同様の傾向は当然認められるが、中でも顎関節,関節円板,下顎顆頭の加齢による変化が最も大きいことが判明した。加齢に伴う顎関節機構の顕著な特徴は、
(1)顆路傾斜がフラットになる。
(2)顆頭位が点ではなく面に拡大する → 顆頭位が不安定になる。
以上のことから、前歯ガイド角は小さくなり、臼歯部展開角は大きくなる傾向にあることが判明した。

[考察]
多くの臨床ケースでは、顎口腔系で加齢による変化が顕著な点は顎関節ということが判明した。顎関節の構成要素は、関節窩,下顎顆頭,関節円板,関節滑液(リンパ液)であり、その全てが咬合運動,下顎位,前歯ガイドと深く関係している。従って補綴物の製作では、これらのデータの解析はとても重要であり、むしろ、歯牙,歯列の形状,形態は顎関節機構を反映した結果と言っても過言ではない。
補綴物が口腔内にSETされた後に長期間快適な口腔内を維持することができるかどうかが、良い補綴物と不良補綴物の分岐点である。

[結論]
生体に調和した補綴物の製作では、模型上での観察だけではとても十分ではなく、生体情報を担当医師より供給されて、無機物である石膏模型に血流を通すことでより天然歯に近い補綴物の製作が可能と考える。歯科学会では、咬合医療(Occlusal medicine)という新しい言葉も聞かれ、近年咬合と免疫力との関係も注目されて来ており、今後咬合に対する認識の高まりは益々大きくなると考える。
歯科技工士の模型の見方,生体の中の人工臓器を製作している意識,モチベーションをさらに高めることが重要である。


   (図) 左右の関節窩の骨形状の相違
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