第31回日本歯科技工学術大会発表
2009年11月22日


*発表日程:2009年11月22日 14:30〜 アクロス福岡

*分類:テーブルクリニック

*演題名:
『3D下顎位調節性咬合器を使用した個有ガイド,咬合の再構築<革新的前歯形態の再現>』
Reconstruction intrinsic occulusal guidance & contruction using adjustable articulator of mandibular position

*抄録

This time we are developing new articulator.New one is possibe to solve a problem of difference between moving mandibular position and right mandibular position.Other way, we can move mandibular position intentionaly according to correct diagnosis by dentists.Other feature,it's possible to be extention of mandibular movement.This mechanism approximate articulator to human body. And more over,incase of bruxism,we can study reason why relaional factor among malocculusion and some of parafunctioins.This time we can get a chance of collabration with dentists.We will be presenting some serious clinical case.

 

今回新しく製作した咬合器を使用しての補綴物の製作,咬合の構築方法を具体的に発表する。

<目的>
私達、技工士が補綴物を製作する時に重要な点は、歯冠の形態とガイドの付与である。咬合を再構築する際に不可欠な要素となり、この要素を決定するのは上顎,下顎の対向関係であり、矢状側,側方側へのガイド成分の確定である。
つまり、上顎模型に対する下顎模型の最も咬合が安定した位置の確保である。ICPの確保となる。ところが、多くのケースでこの下顎位がオープンバイトになっているケース,あるいは下顎位が前方位,後退位,側方位に変位している場合が多い。この状態で技工士が補綴物を製作し、口腔内にSETされると咬合関係は不調和となり、予後に様々な問題<不定愁訴>を生じる原因の一つになることは疑いのないところである。視点を変えると高いクラウン,インレーなどを製作した結果、Dr.サイドでの調整の範囲を超えているため、再製作となり、技工士の作業効率も低下する。これは長期的には技工士自身のDr.に対する信用度の低下となる。

<方法>
上顎,下顎歯列が最大接触面積を確保する咬合位,ICPを再現する,確保するための調節機構を咬合器に付与した。具体的には
  (1) 顆頭高径の調節機能
 (2) 上顎模型の側方向調節機構
 (3) 下顎模型の前後方向調節機構
 (4) 下顎模型の水平面回転調節機構
 (5) 顆路調節機構
 (6) 切歯路角調節機構
以上の調節機構により、上顎模型に対して3次元的に下顎位を調節することが可能であり、中心咬頭嵌合位を再現,確保することが可能である。

<結果>
臨床技工で約10年以上に渡り、多くのケースに対応したが、この咬合器を使用して大部分のケースではICPを確保した作業模型上で技工物を製作することで今まで生じていた多くの問題を減少することができた。また同時に再製作を相当に少なくでき、結果的に作業効率が向上した。間接的に歯科医院側の評判が良く、医院収入の増加に繋がった。

<考察>
今までの歯科技工学研究の成果により、石膏,バイト材などは精度が良くなり、かなり精密な作業を行うことができるが、咬合採得に於ける材料と下顎位は非常に微妙であり、また重要なポイントでもある。
一方患者側の立場ではどうなるのか?私達、技工士も自分が患者になってDr.に治療をして貰う時にクラウン,インレーなどのケースでは咬合採得をされる。この時にバイト材を口腔内歯列上に介在されて閉口位に誘導されるが、実際中心咬頭嵌合位に復位することは意外にも難しいことは経験したことのある技工士は簡単に理解することができる。浮き上がったバイトでクラウン,インレーを製作して、自分の口の中にSETされると咀嚼時には不自然な感触となり、長期的には知覚過敏,動揺などの症状が生じることが多い。

<結論>
私達、技工士の大部分の補綴製作は局所的ケースが多く、対向の天然歯,隣在歯のガイドに調和したものを製作することが大前提である。これを可能とするのが中心咬合位の再現であり、これを除外して個有の咬合環境に適応した補綴物を製作することは不可能である。
今回提示する咬合器の調節機構により前述の使用法に留まらず、従来より難症例とされていた下顎位の不安定なケース(ターミナルジョイントの変形症などによる)などにも対応することが可能となる。また近年多く取り上げられているブラキシズム,クレンチングなどのケースにもある程度の対応が可能である。
下顎運動範囲の定義,ポッセルトフィギヤー(1952)に代表されるが、運動範囲,境界運動をさらに拡張することで生体の下顎運動と咬合器上での運動形態をより緊密にすることが可能と考える。



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